ハンドメイド作家の確定申告 Q&A
お答えします
作った物を繰り返し売っているなら、その利益は所得です。判定に使うのは売上ではなく、材料費・販売手数料・送料を引いた後の所得。パート給与と掛け持ちなら所得が20万円以下で申告は不要、専業なら所得控除の合計額が境目になります。自分が使っていた物を手放した分は、この計算に入りません。
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一解説
判定を分けるのは、材料を買って作品を作り、それを繰り返し売って利益を得ているかどうかです。この形になっていれば、販売の規模にかかわらず、その利益は所得として扱われます。
一方で、自分や家族が使っていた物を手放すのは別の話です。所得税法9条1項9号は、生活の用に供する家具・じゅう器・衣服その他の資産を譲渡した所得に、所得税を課さないと定めています。着なくなった服や使わなくなった道具を売った分は、判定に入りません。ただし、貴金属や書画・美術工芸品などで1個または1組の価額が30万円を超えるものは、この非課税から除かれます(所得税法施行令25条)。
同じアカウントで作品と私物の両方を出品している方は、まず取引を二つに仕分けてください。作品の売上だけが集計の対象です。
販売の場がフリマアプリでも、ハンドメイドマーケットでも、イベントの対面販売でも、この扱いは変わりません。
年間の売上をそのまま判定に使うことはできません。材料費、販売サイトの手数料、送料と梱包材、イベント出店料を引いた残りが所得です。
材料費で注意したいのは、買った分すべてがその年の経費になるとは限らないことです。作品として売れた分に対応する材料費が原価になり、まだ売れていない在庫や、使い切っていない材料は翌年以後へ回ります。まとめ買いをした年ほど、現金の出方と所得がずれます。
所得の合計が所得控除の合計額を超えれば、申告義務が生じます(所得税法120条1項)。基礎控除の額は令和7年分から変わりました。令和7年分・令和8年分は、合計所得金額132万円以下が95万円、132万円超336万円以下が88万円、336万円超489万円以下が68万円、489万円超655万円以下が63万円、655万円超2,350万円以下が58万円です。令和9年分以後は、132万円以下が95万円、それを超えて2,350万円以下が58万円になります。令和6年分以前は2,400万円以下が一律48万円でした。
自分用に作った物と販売用の作品で同じ材料を使っている場合も、原価になるのは売れた作品に対応する分だけです。委託でお店に置いてもらっているときや、イベントで対面販売したときも、売れた分がその年の売上になります。
給与を受け取りながら作品を売っている方は、所得税法121条1項の判定に入ります。給与の収入が2,000万円以下で、1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象になっているなら、給与・退職以外の所得の合計が20万円以下のとき、確定申告書の提出を要しません。
この20万円も売上ではありません。材料費や手数料を引いた後の所得です。売上が20万円を超えていても、材料費・手数料・送料を引いた後の所得が20万円以下なら、この入口に収まります。
パートを2か所以上掛け持ちしている場合は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与・退職以外の所得との合計で20万円を判定します。
確定申告の期間は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日まで、期限も3月15日です。還付を受けるための申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。
販売サイトの取引明細は、遡れる期間がサービスごとに決まっています。イベントでの対面販売は、そもそも明細が残りません。売れた作品と金額を、その場で控えておいてください。材料店のレシートも、作品ごとに分けなくてよいので、まとめて保管します。
所得税の申告が不要な場合でも、お住まいの市区町村への住民税の申告は別に必要になることがあります。20万円以下の所得を所得税で申告しなかったときが、その代表です。
二一次情報
所得税法 第9条第1項第9号・第2項第1号(非課税所得)(抜粋)
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
2 次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす。
一 前項第九号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額(以下この項において「取得費等の金額」という。)に満たない場合におけるその不足額
所得税法施行令 第25条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)(抜粋)
第二十五条 法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二 書画、こつとう及び美術工芸品
所得税法 第120条第1項(確定所得申告)(抜粋)
第百二十条 居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるとき(第三号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合、第四号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合又は第五号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた予納税額がある場合を除く。)は、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
所得税法 第121条第1項・第3項(確定所得申告を要しない場合)(抜粋)
第百二十一条 その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。
一 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が二十万円以下であるとき。
3 その年において第三十五条第三項(雑所得)に規定する公的年金等(以下この条において「公的年金等」という。)に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が四百万円以下であるものが、その公的年金等の全部(第二百三条の七(源泉徴収を要しない公的年金等)の規定の適用を受けるものを除く。)について第二百三条の二(公的年金等に係る源泉徴収義務)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び公的年金等に係る雑所得以外の雑所得の金額の合計額をいう。)が二十万円以下であるときは、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額又は課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。
所得税法 第122条第1項(還付等を受けるための申告)(抜粋)
第百二十二条 居住者は、その年分の所得税につき第一号から第三号までに掲げる金額がある場合には、次条第一項の規定による申告書を提出することができる場合を除き、第百三十八条第一項(源泉徴収税額等の還付)又は第百三十九条第一項若しくは第二項(予納税額の還付)の規定による還付を受けるため、税務署長に対し、第百二十条第一項各号(確定所得申告)に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。
国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除(抜粋)
基礎控除は、納税者本人の合計所得金額に応じてそれぞれ次のとおりとなります。
132万円以下48万円/95万円/95万円
132万円超336万円以下48万円/88万円/58万円
336万円超489万円以下48万円/68万円/58万円
489万円超655万円以下48万円/63万円/58万円
655万円超2,350万円以下48万円/58万円/58万円
2,350万円超2,400万円以下48万円/48万円/48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円/32万円/32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円/16万円/16万円
2,500万円超0円/0円/0円
(注1) 令和7年分の上記規定は、令和7年12月1日に施行されます。施行日前の適用関係などについては、「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A(令和7年5月)」をご確認ください。
(注4) 令和元年分以前の基礎控除の金額は、納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円です。
国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(抜粋)
大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。
しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人(確定申告をすれば税金が還付される人は除きます。)は、確定申告をしなければなりません。
1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
2 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人
3 給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える人(注)
(注) 給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。
4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
国税庁 タックスアンサー No.2020 確定申告(抜粋)
所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続です。
源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、この確定申告によってその過不足を精算します。
対象者または対象物
確定申告をする必要がある方
その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、確定申告をする必要があります(控除しきれなかった外国税額控除の額、源泉徴収税額または予定納税の額がある場合を除きます。なお、この取扱いは確定申告書の提出期限が令和4年1月1日以後となる確定申告書について適用され、当該提出期限が同日前となる場合にはこれらの控除しきれなかった額があったとしても確定申告をしなければならないこととなります。)。
確定申告をする必要がない方
給与の収入金額が2,000万円以下、かつ、給与を1か所から受けていて、その給与の全部について源泉徴収される人で給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等、一定の場合には確定申告をしなくてもよいことになっています。
※ 給与所得がある人で確定申告をする必要のある人については、コード1900「給与所得者で確定申告が必要な人」をご覧ください。
また、国内において公的年金等の支払を受けている人については、次のいずれにも該当する場合、確定申告をする必要はありません。
1 その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下である。
2 その公的年金等の全部が源泉徴収の対象(注)となっている。
3 その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である。
(注) 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書の提出先であって、その年中の年金の額が一定の金額に満たないため源泉徴収を要しないこととされているものは、ここにいう「源泉徴収の対象」に含まれます。
申告等の期間
原則として、その年の翌年2月16日から3月15日までです。
申告等の期限
原則として、その年の翌年3月15日です。
国税庁 タックスアンサー No.2030 還付申告(抜粋)
確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
ただし、青色申告特別控除(55万円、65万円)を受けようとする場合など、法定申告期限(原則翌年3月15日)までの確定申告書の提出が要件となっている特例を適用する場合には、還付申告であっても法定申告期限までに提出する必要があります。
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三ハンドメイド作家の場合
ハンドメイドで独特なのは、材料費の出方と所得のずれです。作品が売れて初めて、その作品に使った材料費が原価になります。年末にまとめて材料を買い込んだ年は、現金が減っているのに所得は大きく出ます。売上の合計だけを見て「20万円に届いていない」と考えると、判定を誤ります。
もうひとつ、同じアカウントで作品と私物の両方を売っている場合の仕分けです。着なくなった服や使わなくなった道具を手放した分は、所得税法9条1項9号により所得税がかかりません。作品の売上と私物の売却は、はじめから分けて集計してください。イベント出店の売上のように明細が残らないものは、その場で控えておかないと後から再現できません。
※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
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